オリジナル版「勇気ある追跡」

映画「勇気ある追跡」は、1969年に公開されたアメリカ映画です。「トゥルー・グリッド」と同じくチャールズ・ポーティスの同名小説を原作としている作品です。「トゥルー・グリッド」はこの映画のリメイク版という風に言われることが多いのですが、監督のコーエン兄弟はあくまで原作を再映画化した作品であるというスタンスを取っています。しかし、原作にはなく、映画「勇気ある追跡」にはあるシーンがオマージュ的に使われていたりもするので、この作品が少なからず彼らに影響を与えたことは確かでしょう。「トゥルー・グリッド」とは違った展開もあり、話を知っていても十分楽しめる映画です。

ストーリー(ネタバレ)

1880年代のアーカンソー州。少女マティはしっかりもので気が強く、けれども可愛らしい女の子でした。14歳にして父親の経営する牧場の帳簿係を務めるほどです。そんな彼女の父親が、雇い人のトム・チェイニーに殺されてしまいます。チェイニーはそのまま無法地帯の先住民区域へと逃げ込み、悪党のラッキー・ネッド一味と行動を共にしているというのです。マティは迷わず復讐を決意します。父の仇を討つため、マティは大酒飲みで荒くれ者の年寄り保安官ルースター・コグバーンを雇います。コグバーンは隻眼で、左目にはアイパッチを着けていました。2人でチェイニーを探す旅に出ようかと言うとき、チェイニーが犯した過去の別事件のことで彼を追っている若いレンジャー・ラビーフがコグバーンと手を結んでしまい、マティは足手纏いだと置いて行かれてしまいます。ですが気が強く頑固なマティは無理矢理2人に着いて行きます。2人はマティを何とか追い返そうとしますが、マティの馬に乗ったままで川を渡るほどの意志の強さを見たコグバーンとラビーフは、遂に根負けしてしまいます。

旅の始まり

ようやく一つになった3人は、共にチェイニーの追跡を始めます。しかし荒くれ者のコグバーンと真面目なラビーフはそりが合わず、喧嘩してばかりです。彼らは、森の中を歩くうち、ネッド一味の隠れ家を見つけます。ネッドは見張りのクインシーとムーンを残し、どこかへと出かけて行きます。コグバーンたちは見張りの二人を生け捕りにし、わざと2人に仲間割れをさせ、ネッドの動向を聞き出すのでした。しかし、仲間割れの最中にクインシーとムーンは死亡してしまいます。ムーンによれば、ネッドたちは今夜この小屋に戻ってくるとのこと。3人は少し離れた場所で待ち伏せすることにしました。夜になり、ネッドたちが戻ってきます。焦ったラビーフはコグバーンが止めるのも聞かずにネッドたちに発砲してしまいます。2人を射殺しますが、肝心のネッドやチェイニーは取り逃がしてしまいました。敵の死体はコグバーンの知り合いのブーツの家に預けました。ここには先住民で医者のガスパーゴも住んでいました。3人は再びネッドたちを追いかけ始めます。口論を繰り返しながら進む3人。ですが次第にお互いの腕を認め合い、心が通うようになっていたのでした。

チェイニーたちとの戦い

林で一夜を明かし、翌朝、マティは1人川へと顔を洗いに行きます。ところが偶然そこにはチェイニーがいたのです。マティは父の形見である拳銃をチェイニーに向けて撃ちます。弾はチェイニーの腹に当たりますが、急所は外れてしまいます。銃声に気付いたチェイニーの仲間たちが現れ、マティは捕まってしまいました。一方、コグバーンたちも銃声に気付いて駆け付けますが、ネッドがマティを人質にして彼らを追い返してしまいます。コグバーンとラビーフはマティを置いてその場を去ります。マティは2人に裏切られたと悲しみの表情を見せるのでした。ネッドはチェイニーをマティの見張り番に残し、先を急ぎます。チェイニーとマティの2人だけになったのを見計らって、去ったと思ったラビーフが現れマティを助けてくれました。一方コグバーンは、先に行こうとしていたネッドたちを待ち受けていました。ネッドたち4人に対し、コグバーンは1人。馬上の決戦が始まります。コグバーンは口に手綱を加え、二丁拳銃で敵に突っ込んで行きます。銃撃戦の末、ネッドの子分たちは倒れ、ネッドにも深手を負わせることが出来ました。しかし、コグバーンも馬の下敷きになってしまい、身動きができない状態に。それに気づいたネッドはコグバーンへと忍び寄ります。窮地に陥ったコグバーンを救ったのは、遠くからその様子を見ていたラビーフのライフルでした。ここまでの戦いではことごとく的を外していたラビーフが、見事にネッドを撃ち取ったのでした。しかし、その瞬間まだ息絶えていなかったチェイニーが、ラビーフの頭部めがけて石を振り下ろします。一緒にいたマティは、父の形見の銃を取り出してチェイニーに発砲しますが、その反動で岩穴へと落ちてしまいました。穴には毒蛇がおり、マティは腕を噛まれてしまいます。そこへコグバーンが現れ、チェイニーにとどめを刺します。コグバーンはマティを助け出そうとしますが、彼1人の力では無理でした。そこへ瀕死のラビーフが最後の力を振り絞って現れ、マティを助け出すのでした。

その後

ラビーフは力尽き、マティも蛇の毒が回って危ない状態です。すぐにでも医者の治療を受けなければマティの命が危ない。コグバーンは自身の馬に乗り、マティを抱えて全速力で医者のいるブーツの家へと向かいます。無理に走らせたために馬は途中で力尽きてしまいました。コグバーンはそれでもあきらめず、マティを抱えて走ります。何とかブーツの家に到着した時には、マティの意識はありませんでした。しかし、ガスパーゴ医師の治療のお陰で何とか一命を取り留めたのでした。数日後、元気になったマティは町へと戻っていました。父の墓を建てたマティは、身内のいないコグバーンもこの墓に入るのだと言います。コグバーンにこの地に留まって一緒に暮らそうと懇願するマティでしたが、彼はその願いを笑い飛ばし、「たまには会いに来いよ」と言ってマティの元を明るく去っていくのでした・・・。

キャスト

  • ルースター・コグバーン・・・ジョン・ウェイン
  • ラビーフ・・・グレン・キャンベル
  • マティ・ロス・・・キム・ダービー
  • トム・チェイニー・・・ジェフ・コーリイ
  • ネッド・ペッパー・・・ロバート・デュヴァル
  • ムーン・・・デニス・ホッパー
  • エメット・クインシー・・・ジェレミー・スレート
  • ブーツ・・・ロン・ソブル
  • グーディ・・・アルフレッド・ライダー
  • ストーンヒル・・・ストローザー・マーティン
  • パーカー判事・・・ジェームズ・ウェスターフィールド
  • ダゲッド弁護士・・・ジョン・フィードラー
  • フロイド夫人・・・エディス・アトウォーター

スタッフ

  • 監督・・・ヘンリー・ハサウェイ
  • 脚本・・・マーガリット・ロバーツ
  • 原作・・・チャールズ・ポーティス
  • 製作・・・ハル・B・ウォリス
  • 音楽・・・エルマー・バーンスタイン
  • 撮影・・・ルシアン・バラード
  • 編集・・・ウォーレン・ロウ
  • 配給・・・パラマウント映画

感想

「トゥルー・グリッド」を観た後に、同じ原作から作られた「勇気ある追跡」も観てみようと思いました。この映画は主演のジョン・ウェインがアカデミー主演男優賞を受賞しており、西部劇の中でも名作と言われています。公開は1969年ですから、私が生まれるよりも遙か前に作られた映画なのですが、今見ても色あせない面白さがありました。CGなんてない時代ですから、本物の馬を使い、生身の人間がアクションを行っていて非常に迫力があります。「トゥルー・グリッド」とはちょっと違う展開になる場面もあって、その点も面白かったです。例えば、コグバーンとラビーフが喧嘩別れしないとか、コグバーンの眼帯が逆だとか、ラビーフが死んでしまうとかですね。特筆すべきはやはり結末のシーンだと思います。「トゥルー・グリッド」ではマティが自分でチェイニーを殺し、その代償に腕を失う訳ですが、「勇気ある追跡」ではマティが撃った弾はチェイニーには当たらず、コグバーンが彼を殺します。もちろん腕も失いません。蛇に噛まれた後に乗る馬もコグバーンの馬なので、マティは何も失わずに済むんですね。その点はやはり私は「トゥルー・グリッド」の結末の方が好きでした。ただ、コグバーン役のジョン・ウェインは流石と言うべきか、立ち回り方が本当にかっこよくて見とれてしまいました。マティ役のキム・ダービーはちょっと子供っぽさが残りすぎていて、芯の強さが足りない気がしましたが、作られた時代が違うせいなのかなと思いました。面白いのは「イージー・ライダー」のデニス・ホッパーがチョイ役で出演していることですね。エンドロールを観るまで全然気が付かなかったのですが、ネッドの手下のムーン役を演じています。「イージー・ライダー」の時はワイルドでカッコいい印象でしたが、ムーンは小物感満載ですぐに殺されてしまうので、そのギャップも面白いと思います。西部劇入門にはちょうどいい作品だと思うので、機会があれば観てみてください。

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本当の勇気を示せ!~映画「トゥルー・グリッド」~